中国市場注目ニュース 全人代「GDP成長率」を読み解く

全人代「GDP成長率」を読み解く

2019年3月8日 Newsweek

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/03/gdp-5.php

李克強首相、政府活動報告で目標値「6.0%~6.5%」

3月5日の全人代(全国人民代表大会)における政府活動報告で、李克強首相は今年の経済成長率の目標を「GDP成長率で6.0%~6.5%とする」とすると発表した。

世界が最も注目している値だが、昨年の目標値が「6.5%前後」だったのに対して、やや引き下げたことになる。

中略

北京オリンピックがあった辺りから急激に(GDP)規模が増大し、「2010年」には日本(緑色の太線)を凌駕している。赤い太線と緑の太線が「2010年」で交差しているのが見て取れる。この時点から中国は世界第二の経済大国になり始めた。

一方、赤の「・」でプロットした「細い赤線の折れ線グラフ」をご覧いただこう。まさに、日本を追い抜いたこの「2010年」から、GDP成長率(経済成長率)は減少し始めているのである。

「経済規模が大きくなったために成長率が減少する」という現象が歴然と見て取れる。

以上抜粋

この記事のポイント

中国経済のGDPの成長率の鈍化を中国政府自身が認めた形になる。それ以外にもアメリカのシンクタンクなどが、中国政府の公式発表以上に成長が鈍化しているという指摘もあるようだ。また、昨年末に日本電産の四半期決算に際して中国からの受注減による減収の発表があったことも記憶に新しい。

このような報道を受けて、今なぜ中国なのか、という声がより多く聞かれるようになった中で、その反対論とも言える記事となる。

記事内でも述べられているが、中国経済の成長率の鈍化を嘆く前に、日本経済の低迷ぶりを嘆く必要がありそうだ。

https://honkawa2.sakura.ne.jp/4555.html

リンク先の図をご覧いただきたい。アメリカ・中国の2強対決がよく報道されているが、ヨーロッパ経済もEUとしてみると、この2巨と匹敵する経済規模にまで成長している。残念ながらこうした世界の成長市場からみると、日本は成長力という点では、とり残されてしまっている。その意味では日本国内にとどまることが自体が大きな危機とも言える。

またこの中国の経済規模を踏まえた際の、成長率6%である点をよく考えた判断が必要になる。2017年の名目GDPが11兆9400億ドルなので、6%の成長だと、7164億ドルの経済規模が増加したことになっており、その規模は台湾1カ国のGDP(約5700億ドル)よりも大きいことになる。毎年中国国内にアジアの国が1つ増加している経済規模であり、他のアジアの国々の成長率と同じには考えてはいけない規模ではないだろうか。