実践!DX時代の初めてのプロジェクトマネジメント

第2回 プロジェクトマネジメントのステップの全体像

今回の目的

前回はプロジェクトマネジメントの難しいポイントは何か、そしてそれを乗り越えてより成功確率を上げるための方針について概観してきた。

今回は、実際にプロジェクトマネジメントを実施してく時のステップの全体像について概観し、プロジェクトマネジメントで行うべき作業の全体像を把握してみたい。

プロジェクトマネジメントのステップ:全体像

プロジェクトマネジメントの基本的なステップは下記の4つになる。

ステップ自体はシンプルなものだが、実際にやることは多岐に渡るので、、各ステップで行うことの概観してみたい。

プロジェクトマネジメントのステップ①:計画

目的:
・プロジェクトを実施することの合意を得ること

作業の概要:
・プロジェクトの目的・ゴール・成果の定義
・実現に必要な作業・スケジュール・体制の定義
・予算・要員などの必要な経営資源の見積
・プロジェクトオーナー及び関係者との合意形成

作業推進上のポイント:
・手戻りなく計画書作成をどのように進めるか?
計画段階の最終成果物はプロジェクト計画書となる。プロジェクト計画書に上記に示した項目について検討・明記し、プロジェクトオーナーに報告し、承認を仰ぐというプロセスを経ることが一般的な進め方になるだろう。

計画書の作成に向けては、作成に必要な作業を分解し、スケジュールに落とし込み、プロジェクトメンバーをアサインしていくことが必要になる。プロジェクト計画書を作るためのプロジェクト管理が必要だ。

このプロジェクトにおいてどのようなことを実現したいのかというのはプロジェクトオーナーから計画策定の前提として要望があると思うが、それ以外にも関係者があり、様々な要望や思いがある場合が多い。これらの様々な考えや都合を整理をして、手戻りがないように落とし込んでいくことが重要だ。

誰にどのようなコミュニケーションを実施していくのか、その手順や段取りの整理が重要になってくる。

・後々困らない予算設定をどうするか?
予算を決定するためには、必要に応じて外部のパートナー企業なども巻き込み専門的な知見や実際に実行に移したときにどの程度の工数が必要かなどの概算見積もりの取得も必要になる。
この時点は時間も限られており、作業の詳細まで詰められることは稀であろう。一方で、この時点で上がってきた見積を踏まえ予算設定はしなければならず、また一旦定めた予算を後から増額することは難しい場合が多いので、ここでの予算設定はどうしても慎重になってしまう。
そのため、このタイミングでは費用に大きく響くような論点や、プロジェクトの成果創出に欠くことのできない要素の見極めをしっかり行い、主要論点の方針を明確化することで、費用見積もり後々の振れ幅を減らす努力が重要だ。

プロジェクトマネジメントのステップ②:準備

目的:
プロジェクトオーナーからのプロジェクト実施に向けた承認を得られたら、要員のアサイン・協力会社の選定を行い、作業の詳細化を行い、キックオフ実施に向けた準備を行う

作業の概要:
・プロジェクトメンバーのアサイン
・協力会社の選定・契約
・作業の詳細化(マスタースケジュール・WBSの作成)
・プロジェクト管理ルールの定義

作業のポイント:
・PJT 参画者の意識・目線あわせ
この時点からプロジェクトに参画するメンバーや協力会社なども出てくるだろう。彼らにしっかりとプロジェクトの目的やスコープについて理解してもらい、自分たちの作業の詳細化やリスクを洗い出してもらうことが重要だ。そのためにもプロジェクト新規参画者へプロジェクトの目的や概要の説明を行い、よく目線や意識を合わせておくこと必要がある。

・WBS・役割・プロジェクト運営ルールの明確化
この時点でできる限り作業を詳細化しWBSに落とし込み、それぞれの作業を誰が担当するのかを明確にして、各担当が自分が何をしたらわからないなどの事態に陥らないようにしておく必要がある。合わせて、進捗の管理方法や課題が発生した場合の管理方法など、プロジェクトの運営ルールについても定めておく必要があるだろう。

プロジェクトマネジメントのステップ:③実行

目的:
プロジェクト計画書を実行に移し、プロジェクト目的の実現に向けてプロジェクトマネジメントを実行する。

作業の概要:
・プロジェクト管理の実行
・意思決定・判断

作業のポイント
・可視化・判断・周知のプロジェクトマネジメントサイクルの確立
実際のプロジェクトの作業が始ま理、プロジェクト管理が開始される。週次・月次・4半期などのタイミングで定例会議体を設定し、プロジェクトの運営サイクルを確立していくことが重要だ。また、週次なら週次の定例会議運営のサイクルの中に、進捗や課題の可視化のための報告や情報集約のための会議、重要な課題について討議・判断する会議、決定事項を関係者に周知する会議や仕組みなど、それぞれの目的に応じた会議設定やアジェンダ設定をしていき、プロジェクト管理のサイクルをリズムよくこなしていけるようにしていくことが大切だろう。

・コミュニケーション円滑化の工夫
プロジェクトの公式の運営サイクルを確立する一方で、参加者間での非公式なコミュニケーションが円滑に進む仕組みや仕掛けも重要だ。特に、昨今在宅勤務に伴うWeb会議中心のプロジェクト運営も増えたが、web会議はどうしてもコミュニケーションに関する情報量が言葉だけになり、少なくなるため、ちょっとした情報交換が端緒になって気づく認識違いや漏れや、お互いの顔が見えないことで発言がしにくかったりなどして必要なコミュニケーションが減ってしまうリスクがある。One on Oneや、よもやま会などより雑多にコミュニケーションをとる場も定期的に儲けるなどの工夫が必要になるだろう。

プロジェクトマネジメントのステップ:④効果検証・振り返り

目的:
次のプロジェクトに活かすために、プロジェクトの振り返り・効果検証を行う。

作業の概要:
・プロジェクト振り返り・効果検証の実施
・プロジェクト完了報告の実施

作業のポイント
・様々な立場のメンバーの意見を確認
プロジェクトがうまくいった部分、あるいはうまくいかなかった部分はどこか?その原因はどこにあるのか?あの時どうしていればより良かったのか?次に生かすべき教訓は何か?など様々な観点で振り返りを行い、次に活かすべき教訓を導き出す。
その際に、様々な立場のメンバーの意見を聞くことが重要だ。 マネジメントリーダー担当者あるいは外部の協力企業等その立場によって見え方が変わってくるものだ。さまざまな視点からのフィードバックをいただくことでより客観的にプロジェクトの振り返りを活かしていくことが重要だ

まとめ

今回は、プロジェクトマネジメントの全体のステップについて概観してきた。プロジェクトの計画から振り返りまでプロジェクトを管理していく上でのポイントについても簡単に触れてきた。これではまだ概念的でものに過ぎないので、次回以降各ステップにおいての具体的な作業や、その進め方について詳述していきたい。