中国進出の基礎知識 中国進出の四つの方法② 越境EC(3)

中国向け越境ECポータルのシェア

中国向けの越境ECを展開する有力な方法の一つして、既存の越境ECのプラットフォームに出店、もしくは出品するという方法について前回述べた。

今回は、どのようなプラットフォームのプレイヤーがいるのか、またその特徴について述べて行きたい。

まず、有力な中国向け越境ECプレイヤーのシェアについて、2018年の上期の調査について見てみたい。こちらは、中国のiiMedia Researchが発表したデータとなる。これによると、Kaola(ネットイース子会社が展開する越境ECサイト)が26.2%のシェアを占めて首位に立ち、次いで、アリババ傘下の天猫国際(Tmall Global)、3位は京東(ジンドン)の越境ECサイト京東全球購(JD Worldwide・通称:JDW)。フラッシュセールECサイトの唯品会(VIPshop)が展開する越境ECモール唯品国際(global.vip.com)が12.5%のシェアで4位という結果になっている。

2018年上半期越境ECプラットフォームの市場シェア(出典元:iiMedia Research)

中国向け越境ECプラットフォーマーの特徴

1位:网易考拉(ネットイースコアラ)

https://www.kaola.com/

网易考拉は中国三大ポータルサイトのひとつである、網易(ネットイース)が運営している。

特徴の一つとしては、自らが日本、韓国、米国、オーストラリア、ヨーロッパ各国の企業と提携し、自社で買い付けた海外商品を直販することで、「本物」の品質を保証し、販売している点がある。

日本での提携メーカーの主なところは、カルビー、カシオなど。そのほか、楽天と戦略的提携契約を締結したり、花王が旗艦店をオープンしたことなどで知られている。

Kaolaも中国各地に保税倉庫を保有しており、保税倉庫から消費者へ直送を図ることで、配送リードタイムを短縮している点も1位を獲得できている理由であろう。

商品の特徴としては、直営方式である点を活かし、他のモールよりも安い価格での販売を目指しているようだ。商品はいずれもナショナルブランドの商品が中心となっている。

2位:天猫国際(Tmall国際)

中国最大のショッピングモールである、タオバオや天猫を運営する、アリババグループが展開する越境ECプラットフォームが天猫国際となる。

天猫国際のkaolaとは違い、出店型の越境ECプラットフォームとなっているが、近年はアリババの直営店舗も運営しているようだ。

大きな特徴の一つは、厳しい出店基準を設け、営業許可証や取扱商品の商標登録証等の提出や審査を行うことで、偽物を排除し消費者に安心と信頼感を与えるモールを構築している点にある。

現在は積極的な出店勧誘は行っておらず、日本からの出店はナショナルブランドでも難しいとされている。

3位:京東全球購(JDWW、JD Worldwide)

京東商城は中国国内でのEC流通額はアリババグループと市場を2分する巨大なシェアを保有している。国内のビジネスモデルの特徴は、自社で商品を仕入れて販売する直販型の事業形態を採用しており、米国「Amazon」に近いビジネスモデルに近い点だ。Amazon同様、大規模な物流部門を保有していて、中国国内に自社の配送を張り巡らしてる。

越境ECモールとしては、直営方式で日本企業から直接商品を仕入れて販売する方式の他、出店形式も採用しており、いずれかのパターンを選択することが可能となっている。

上位2社同様、商品が本物であること保証するための、販売授権書の提示等が求められている。

次回、4位のVIPそして、昨今人気が出てきている5位のREDについても見ていきたい。