初めての楽天市場出店を成功に導く

目次

1.楽天市場に出店してみたけど・・・

2.楽天市場で勝ち抜くための基本戦略

3.成功のポイント

4.最後に

楽天市場に出店してみたけど・・・

今回は、楽天市場への初めての出店を担当することになった方、あるいは出店はしたものの思うような成果が出ていないという悩みを抱えた担当者の方を対象に、楽天市場をどのように攻略していけば良いのか 、そのヒントについてご提供していきたい。

「楽天市場」についてはもはや説明は不要であろう。日本最大級のECプラットフォームであり、流通総額は4.8兆円とも言われる。(楽天市場のみならず楽天トラベルなど楽天の全てのサービスの合計値)出店店舗数は約5万店と言われている。

利用者数は5100万人(2020年。ニールセン調査)とされており、多くの会員も抱えている。 自社で独自ドメインを取得し EC を出店する場合に比べて顧客を獲得するコストを抑えることができるとされている。しかし利用者する消費者の数が多いことで、競合する店舗や商品も多く、後発の商品がこの市場の中で勝ち上がっていくのは一筋縄ではいかないのも事実である。また仮に売上を獲得できたとしても、楽天市場の中での広告宣伝にコストがかかりすぎて利益が出ないといったことも多々ある。

今回は弊社の自社出店、出品の経験も踏まえながら、後発でありながらも、楽天市場で売上・利益を獲得するポイントを解説していきたい。

楽天市場を勝ち抜くための基本戦略

楽天検索結果1位を獲得する

このテーマを議論するにあたってまず最初に、楽天市場で勝ち抜くって言う事はどういうことなのかということを明確に定義しておきたい。

もちろん売り上げが上がると言う事は大前提である。しかしながら売り上げ上がっても広告宣伝に多くの費用を投入し続けないと売上が獲得できないとなってしまっては、利益上がらない。ここでは、売上・利益ともに確保できる状態になることを勝ち抜くことであると定義したい。

では広告宣伝を打たずにしていかにして売り上げと利益を獲得するのか。答えは言わずもがなかもしれないが、キーワード検索を実施した際の検索順位で1位(少なくとも上位)を獲得することである。

自らが楽天やYahoo!、あるいはアマゾンでどういった購買行動をとっているのか思い出して欲しい。自分が欲しいものをキーワード検索して上から順番に見ていくのではないだろうか。

検索結果で上位を獲得するれば、広告宣伝費をかけなくても、顧客への認知度を高めることができる。購入件数が伸びていけば、後に述べるように、検索順位の上位を維持ていいくことが可能になる。上位を獲得し続けることができれば、広告宣伝費をかけずとも購入がなされ、利益が生み出されることになる。

重要な事はその検索キーワードにおいて、検索結果上位を獲得することである。これは決してそのカテゴリーにおいて検索結果上位を取る、と言う事とはイコールではないことに注意が必要で、そこにチャンスも含まれている。

このことをよく理解いただくためには、楽天市場における検索のアルゴリズムを理解いただくことが必要だ。

楽天市場における検索のアルゴリズムを知る

楽天市場においてどういった商品が検索の上位に掲載されるのか、については楽天市場からその考え方について公式に紹介されている。

出典:https://www.rakuten.co.jp/ec/digitalplatform/

ポイントは大きく分けて2つである。

1つ目は検索キーワードとその商品情報との関連性の強さである。検索語として入力された単語が、商品の商品情報紹介ページ(以下LP)における紹介文に多く含まれている場合関連性が高いと評価される。

一方、指定された検索をのレア度が高い場合、つまりその検索キーワードを使用しているLPが自分の商品しかない場合はにも、関連性が高いとして評価されるとある。つまりオンリーワンの商品でその特徴が他にない商品であれば、その商品をピンポイントで求めてくる消費者に対してダイレクトでつながる可能性があると言うことになる。

もう一つの評価のポイントは検索キーワードごとの商品の人気度である。これは具体的なアクションが何かと言う事までは明示されていないか、購入実績が上がれば上がるほど上位に掲載されることが経験的にわかっている。おそらくクリック数等も考慮されていると考えられるが明確なアルゴリズムついては明示されていない。弊社の経験では購入実績が上がった時のランクアップのインパクトが大きいように感じている。

ここで気をつけて欲しいのは楽天の説明にもあるように、検索キーワードごとにそのアクションが評価されていると言うことである。2つの言葉で構成される検索キーワードであれば、そのうちの1つが異なるだけで全く別のキーワードとしてアクションを評価される。

つまり、類似したキーワードでも、全く異なるもの認識されて、それぞれキーワードで購入された実績に基づく、全く別の検索結果が表示されているということになる。これは検索キーワードごとに競合商品が異なっており、競争の条件も異なるということを意味している。1つの検索キーワードで上位をとったとしても、類似する他のキーワードではを検索結果上位になることにはならない。

この事は自社の商品にとって様々なチャンスにもなるだろう。より自社の商品の特徴が強調されるような検索単語の組み合わせの検索がなされれば、そこでの関連性は高くなるし、競合商品が少なくなっていく可能性もある。ただ、気をつけないといけないのは、検索ワードを絞り込め絞り込むほどに、検索数は減っていく可能性がある点だ。もちろん、絞り込みを行わず、検索ボリューム大きいビックキーワードで戦いたいが、そこは需要も大きい分競争も激しくなってくるということである。

そのため、こんな戦略が有効であろう。まず自社の商品の特徴を活かせるある程度限定した検索キーワドでの上位獲得を目指す。購入実績を増やし、レビュー件数を増やすことでLPの信頼性を高めていく。LPの信頼が高まり、より検索ボリュームが多いと思われる検索キーワドでも購入件数を獲得できそうになれば、そこでの戦いを目指す。そしてどんどん検索数の多い検索キーワードに攻め込んでいくという積み重ねにより、ステップアップを繰り返し、ビック検索ワードでも戦えるようにしていく。

基本的なアプローチとしては地味ではあるが、こちらのようなやり方になっていくと思われる。しかし、このアプローチをこなす上でもいくつか重要なポイントがあるので、そこについてこの後順番に見ていきたい。

成功のポイント

ポイント①:どの検索キーワードで勝負するか?

 まず最初にポイントになるのはどの検索ワードで勝負するかを決定する視点が重要である。当然市場が1番大きいのは検索キーワードの検索回数の多いビックキーワードとなってくる。しかしながら多くの場合このような検索キーワードにはもうすでに強い競合商品が存在している。そのためビックキーワードに更にキーワード追加して検索結果を絞り込んでいく。その絞り込まれた検索キーワードの中で検索結果上位を獲得するということがまず最初のステップになる。

しかしながら、前述の通り、絞れば絞るほど検索ボリュームが減少していくと言う事実もある。適度な検索ボリュームをがあり、かつ自社の商品がフィットする検索キーワードを適切に見つける事がまず大きな戦略のポイントになるだろう。

その上で、選んだ検索キーワドの検索結果で出てくる競合商品を眺めて、まず検証するのは、レビュー件数が初期段階で少ない自社商品であっても、選んでもらえる可能性があるかどうかだ。

検証の観点としては、まず価格が挙げられる。検索結果の中で自社の商品が1番高い商品だった場合、レビュー件数も少ない初期の状態の中で自社の商品をクリックしてくれる客はまず少ないと思ったほうがいい。また、単純に価格だけでなく、コスパも含めて見極めておいた方が良い。逆に、価格やコスパが優れていれば優位な環境と言えるだろう。

次の検証の観点として、商品の商品名やサムネイル画面の表現も重要な要素となる。検索結果の中から消費者はまずは商品名やサムネイルの情報を元にクリックしていくわけであり、そこで勝ち抜くことがまず必要である。そのため、競合商品に埋もれないための工夫を考える必要がある。

ターゲットとする検索キーワードにおいて他にどのような特徴を持った商品や価格の商品が存在するかを分析し、自社の商品がその中で相対的にアクションされやすい商品であるかどうかをこの段階で見極めておかが重要になってくる。

ポイント②:勝てるLPをどう作るか?

通販ならではの、顧客の心理的な障壁を取り除くことで差別化をはかる

2つ目のポイントは勝てるLPをいかにつくるかと言うことである。勝てるLPを作るためには実際の顧客の立場に立って商品を選んでみると良い。そうすると実は顧客はこちらが想定しない、意外なところで商品の決定を行っている場合がある。

特に、ECでは類似した商品がずらりと検索結果に並ぶことになる。このような状況において、価格以外の商品の選択基準をうまく見つけて顧客に視点を提供していくことも重要になってくる。

具体的な例を挙げて説明したい。新型コロナを契機に大量の布マスクが楽天市場においても販売されている。これらの商品のLPを見てみるとたいていの商品において様々な機能についての説明が記載されている。例えば、抗菌、遮熱、濡れ防止、などなどである。価格を見ても1枚あたりの値段は1000円前後となっており正直そこまで極端に安いマスクなども存在していなかった。逆に言うとデザイン性や機能や価格ではどれも似たり寄ったりで、どれを購入するべきなのか、迷うような検索結果が表示されていた。

しかしながら、実際の商品の売れ行きを見ると、ある一定の限られた商品に集中しているようで、レビューの件数が非常に多い商品はいくつかの商品に絞られていた。こうした商品のLPをよく見ていくと、マスクの機能の説明以外に、マスクのサイズについて詳しく述べられていることに気がつく。マスク自体のサイズについて実寸を入れた画像があるだけではなく、M、L、Sといった型サイズごとにモデルさんがそれぞれそのマスクをつけた画像を詳しく何パターンにもわたって掲載しているものもある。

次に商品のレビューを読んでいくと、実は購入する顧客はマスクの大きさを非常に気にしていると言うことをがわかってくる。特に女性の場合マスクをした際に自分の顔が大きく見えないかといったことを懸念しているようだ。しかしながら通販ならではの問題点として実際に手を手に取って商品を見ることができない。そのためこの商品が実際自分の顔にフィットするのかどうなのか、そのことを購入する際に非常に気にして不安に思っているということがレビューーの中から見えてくる。

つまりほとんどの商品はマスクの機能について一斉にPRしているのだが、機能だけでは似たり寄ったりであり、決め手にならず、マスクの大きさが自分の顔のサイズに合うものかどうかという点に商品の選定基準があったようだ。

検索キーワードの検索結果に表示される商品一当然キーワードとの関連性の高い商品が表示されるので、検索結果の中にはほぼ似たような商品が並ぶと理解した方が良い。そこから先商品を選ぶ際にはどうしても価格の影響力が高いものとなってしまう。しかしこのマスクのように消費者の気になる別の購入のポイントを発見し、そのことをポイントとして訴求していくようなことができれば、競争から一歩抜け出すLPを構築する上では重要になる。

実際に商品を手に取って見ることができないECに置いて、消費者の不安は意外と多くあるもののだ。その部分まで織り込んでいかにその不安感を取り除くのか、そこに徹底的にこだわることができた商品が買われていくのではないだろうか。

もちろん前提として消費者に伝わりやすいストーリーや画像写真を活用する事は当然である。消費者が我が事のように受け止め、その商品を自分の悩みの解決に役立つものだと納得してもらうためには、消費者が具体的に抱くであろう悩みを共感を持って捉えられるようにしておくことをが非常に重要である。また、LP全体が持つ雰囲気やイメージもそれによって無意識のうちにその商品の対する好みを決めてしまっているという点で当然重要なポイントになってくるのは言うまでもない。

次には、顧客の隠れた購買ポイントを探る上で重要なレビュー分析について言及しておきたい。

レビュー分析をして、顧客の購買ポイントを探る。

勝てるLPを作る上では当然ながら顧客のレビュー分析が非常が重要になってくる。しかしながら件数が多くなればなるほど全体としてどういったことがポイントになっているのかを掴むことがなかなか難しくなるのではないだろうか。一部の限られたレビューだけを読んでそこから判断する事は時として間違った認識をもたらすことも懸念される。

こうした時に非常に有効になるのがテキスト分析などのツールである。弊社では対象となる商品のレビューをプログラムで一気にダウンロードし、その結果をAIで分析して全体的な傾向を掴むことをも併せて実施している。AIだけの分析結果ではどうしても読み取れない部分があるが、一方で数多いレビューを全てを見きれないのも事実である。しかしながらこの両者を組み合わせることによってより効率的にレビューの分析を行うことが可能になる。

こうした分析ツールの活用などについてはまた別途ご紹介していきたい。

信頼性を高める(レビューをどう増やすのか?)

もう一つ勝てるLPを作る上で重要なのは、そのLPの信頼性をいかに高めるかと言うことである。最大の重要なポイントが顧客のレビューである。レビューの数も重要であるし、レビューの内容も重要である。

レビューを書いてもらうために購入レビューをしていただいた方へのプレゼントや割引券を提供してインセンティブとする商品も数多くある。レビューの件数を1件増やすということは、そのようにコストを払うだけの価値があると言っても過言ではない。特に初期の段階では利益を失ってもレビューの件数を増やしたい。

レビューの内容に価値があると言っているのは、先の本当の購入のポイントとの関係性においても重要な意味がある。先のマスクの例にもあるように、消費者は気になるポイントについてのレビューを掲載してくれる。マスクの例であれば自分の顔に対して大きかったのかどうか、いやホームページをの画像に表現されているものに対して実物がどういったものであるのかといった評価を記載してくれる。これは消費者が購入の際に不安になっているポイントについての裏付けとなる材料を提供してくれているわけであり、その特に不安となる部分についての裏付けを消費者が行うことによって説得力信頼性が高まることにつながっていくのである。

とにかく、最初の段階ではインセンティブをつけて記載してもらうことが大事であろう。利益度外視でレビューの数を増やすことが目的になる。

ポイント③:どこでどう勝負に行くのか?

最後のポイントは、では実際どうやって消費者のアクションを喚起するのかと言う事について述べていきたい。検索キーワードを決めて、自社なりに勝てるLPを準備したとしても、消費者から実際に購入してもらえない限り検索順位は決して上がっていく事は無い。

登録初期の商品LPにおいては、検索順位は当然下位のほうに表示されていて、消費者はたどり着くことすらできないだろう。仮にたどりついたとしても、レビュー数等も少ないような状態で、どうやってその最初の購入アクションを獲得していくのか、そのアプローチについて説明したい。

まず一番最初の購入だが、楽天以外に既存の顧客がいる場合、そこにアプローチしてピンポイントで商品を紹介しお買い上げ頂くことが早いと思われる。 これまでリアルの店舗にて商品販売を実施していた場合であれば、楽天市場への出店をホームページやメルマガあるいは SNS 等で告知し商品紹介ページに直接誘導するのが有効だろう。

仮にそうした既存の顧客基盤を持たないのであれば、楽天市場での検索以外の方法で、顧客を商品の LP に直接誘導する方法を考える必要がある。 例としては、楽天市場における広告宣伝を使用する方法 、 SNS 等を通じてサンプリングを実施し顧客を誘導するアプローチなども考えられる。 あるいは Google 等の広告を通じて誘導することも一つの手段であろう。

費用をかけたくないということであれば、自分が直接アプローチできる友人家族も含め最初の購入客になっていただく必要があるかもしれない。 

ただこのタイミングで注意したいのは、いきなり大量に広告やマーケティングのコストを投入するのではなく、まずはレビューの獲得を目的とするべきという点である。そのため、 購入後のレビュー記載のご案内はもちろん、レビューを記載した際のインセンティブもしっかり準備して対応しておくことが必要であろう。

レビューについては、インセンティブの内容や商品の内容にもよるが、10件購入があれば1件程度のレビューの記載が期待できる。最初のレビューを獲得するまでは少し時間がかかるかもしれないが、レビューが一つでもついてくると購入確率も上がるので、その後のレビューは比較的獲得しやすくなる。こうしたレビューの獲得は、大きな勝負に出るための準備となる。レビューに記載いただいた内容も踏まえ、 LP において必要な改善点等があればすぐに対応すべきだ 。

ある程度の購入件数が増えて、レビューの蓄積も進むと、大きな勝負に出る土壌が整うことになる。大きな勝負と言っているのは楽天スーパーセールのことだ。

楽天スーパーセールとは3ヶ月に一回楽天が実施する大型のセールのことである。楽天の上級会員(ダイヤモンド会員等)になれば、このセールをうまく使ってお得にお買い物をしているユーザーが多い。

このセールはいくつかの特徴があるが、重要なのは店舗の買い回りにより楽天ポイントの取得倍率が増えていく買い回りキャンペーンと、最大50%以下となる値引き商品の販売であろう。 これにより会員はお得にお買い物ができるため、このタイミングでまとめて商品を購入する会員が多い。 

ある程度レビュー件数が整い購入率が高まってきたのであればこの楽天セールに合わせて広告宣伝を実施したり、あるいはこの時期だけ一気に値引きをかけるなどの投資を行うことがポイントになる。消費者の財布の紐が緩み、需要が一気に増えるため、うまく消費者の目に留まることができてばここで、商品購入実績を一気に増やすことが可能になる。

うまく購入実績を増やすことができれば、スーパーセール後に検索結果が一気に上位に浮上する。もちろんセットで、レビューインセンティブの施策も実施し多くのレビューを獲得することを目指すのも言うまでもない 。このスーパーセールでは一時的に投資は必要だが、セール後に検索結果上位になることによって、定価販売においても購入が一定の利益が獲得できるような流れが作れることがベストだ。

最後に

EC のプラットホームはそのプラットフォームによって顧客のインセンティブシステムも大きく異なっている。楽天は楽天ポイントを有効に貯めたいというお客さんが多いので、例えば0と5のつく日はポイントが2倍になるため、購入者数はスーパーセールの中においても一段と増加する。つまり楽天の中におけるポイントに敏感な消費者が非常に多いということだ。

一方で例えばヤフーショッピングの場合は、ソフトバンクユーザへのポイントプログラムのメリットが大きいので SoftBankを持ったユーザーが優遇されるタイミングやキャンペーンでの需要が大きくなる。

各プラットフォームにおけるユーザーインセンティブの構造をよく理解してキャンペーンを活用していくことが勝ち上がっていく上でひとつの重要な要素であるので、プラットフォームのインセンティブシステムの理解も並行して進めるようにしていく必要がある。

 今回は楽天市場の攻略のポイントについてお話ししてきた。今回は記事の内容が少しでも皆さんの成果創出の一助になればと思う。