2018年1月―12月の訪日街客数がついに3000万人を突破したが、その85%はアジアからの訪日外国人であることは前回に述べた。(2018年のインバウンド市場を振り返る 第1回 訪日外国人3000万人の内訳)。本稿では、そのアジアからの訪日外国人の内訳を見ていきたい。
下記グラフをご覧いただくとわかるとおり、アジアからの訪日外国人客についても偏りがあることがわかる。韓国・中国・台湾・香港の4カ国からの訪日客数で全体の8割以上を占めている。2018年になって、ようやくタイからの訪日客数も100万人を超え、4強+1と言った存在感が出てきているであろうか。
出典:「日本政府観光局(JNTO)」を元にビズグロー分析
主要4カ国+1からの訪問客数の推移とここ最近の平均成長率を算出してみた。これによると、ここ5年間では韓国からの訪問客数は毎年平均すると30%、中国からは40%増加していることになり、4カ国の成長を牽引してきている存在となっている。
一方、2017年対比で見た場合の2018年の伸長率を見てみると、韓国・台湾・香港の伸びが鈍化してきていることに気づく。その中において、中国については直近の傾向を見て見ても、2017年から2018年の間でも12%、約100万人が増加している。これは韓国・台湾・香港の増加が鈍化している中で圧倒的な存在感を発揮している。国別にみれば訪日客の絶対数でも2017年に730万人で1位だった訳だが、そこから更に高い成長率で増加している訳である。
出典:「日本政府観光局(JNTO)」を元にビズグロー分析
人口比を考えても中国にはまだまだ大きなポテンシャルはありそうだ。韓国の人口約5100万人、台湾の人口約2400万人、香港約739万人、に対し中国約14億人。
実際、中国では海外旅行客数は年間のべ1億人と言われている。その6割は香港・マカオへの出国であるとされているが、その出国者に対する割合からしても、日本への訪問客数は10%に満たない程度である。まだ、他の3カ国と比べてもビザ発給の条件も厳しい訳で今後の伸びにはまだまだ期待してもよいのではないだろうか。
よく、「なぜ中国なのですか」、という質問を受けるが、その一つの答えとしてこの「絶対的な規模の大きさ」をあげることができるだろう。他のアジアの国々とは人口規模、経済規模が圧倒的に異なっている。
中国の2018年のGDP成長率は6.1%であったと発表があったが、これは絶対額でみるとアジアの国が1つ丸ごと中国の中に新たに誕生した規模感だ。このとてつもなく巨大な規模をまずきちんと理解しないと中国人市場の魅力は理解できないだろう。
これまで「数」で持ってインバウンド市場を見てきたが、次回からは「消費額」の観点からインバウンド市場を見ていきたい。