2018年1月―12月の訪日外国人客数がついに3000万人を突破したが、その中でも中国人訪日客が数の上でも、成長性でもトップクラスであることを述べた。
今回は、インバウンドにおける消費額、特に買い物に費やす金額を比較して行きたいと思う。
2018年の訪日外国人全体の買い物消費額は速報値で、1兆5654億円と報じられている。この金額の内訳を国別に見て行くと当然訪日人数の多い中国が1位となっている。ただ、その額は約8,033億円と推計されているので、インバウンドの買物消費の51%が中国人による消費に占められている計算だ。2位は台湾になっているが、消費額は2100億円であり、その差は4倍近くあり、中国人訪日客の消費額が圧倒的な存在感を持っていることがわかる。
出典:「観光庁(訪日外国人消費動向調査2018年全国調査結果(速報))」を元にビズグロー分析
しかも、2018年の集計分からクールズ船による訪日客数の消費額は別カウントされている。速報値データだけでは、その関係性が詳しく把握できないが、クルーズ船による中国人訪日客がおよそ200万人弱あるものと推計され、その消費分は上記の買物金額の集計とは別に集計されている模様である。
実際、昨年までの訪日中国人の消費金額を以前分析しているが(爆買いは本当に終わったのか?)、これよりも消費額が低くなっているのは、そのためであろう。
出典:「観光庁(訪日外国人消費動向調査2018年全国調査結果(速報))」を元にビズグロー分析
こちらのグラフは、訪日中国人客1人当たりの、消費額の推移となる。2015年が「爆買」のキーワドが誕生した年だ。そこからすると、1人当たりの金額は減少してきている。ただ、訪日中国人客数が増加しているので、中国人による買物金額規模自体は大きくなってきている。
しかし、衰えたといえ、他の国と比較してみても、この1人当たり買物消費金額は圧倒的な存在感だ。
出典:「観光庁(訪日外国人消費動向調査2018年全国調査結果(速報))」を元にビズグロー分析
「爆買」の時ほどの勢いは衰えたものの、依然として訪日中国人の買物におけるインパクトは他の国や地域と比べると圧倒的なインパクトを維持している。
ただ、留意すべき点が一つある。昨年末に施行されたEC法の影響だ。ソーシャルバイヤーがハンドキャリーで中国国内に商品を持ち込み、販売することがこの法律の施行により減縮していると既に報じられている。
この官公庁の調査データにソーシャルバイヤーの影響も少なからず含まれていると考えるのが自然であり、ソーシャルバイヤーの影響力が低下してきている2019年にこの購買力がどの程度維持されるのかは、慎重に見極めて行く必要があるだろう。