3月11日。東日本大震災が発生して8年になる今日、偶然にも東北地方の商品・サービスをテーマとした商談のため仙台を訪れる。中国との貿易に関わる私たちにとっても、この甚大な災害が今も大きな影響を与えていることを意識しなければならない。東北地方の一日も早い復興に少しでも貢献したい気持ちは今も変わらない。
今日まで中国の輸入に1都9県の生産物に関する制限はとれていない。そして、日本の食品の安全性に著しくダメージを与えた災害であったことは説明するまでもない。
こうした制限があるものの、農林水産物輸出情報を見ると平成30年総計で、香港、米国を抜き中国への輸出が1590億円超で1位となった。主な品目としては水産物、丸太、植木といったものだ。インバウンドの増加とともに、中国人が日本を訪れるようになり、日本の食に対する経験値が高まったことがその大きな要因として考えられる。
ヒット商品を生む道のりは、大きく3つの要素からなる。
- 中国人のニーズ(品質、パッケージ、価格)にマッチしていること
- 中国人の顧客がリーチしやすい販売チャネルで販売されていること
- 中国人が商品・サービスを知っていること
非常にシンプルな要素である。
<事例1:映画で火がついた>
日本人であれば誰もが知っているお土産菓子。自治体の協力もあり、中国映画のロケ地として提供したことがきっかけで、その映画がヒット、その映画を連想される土産用菓子がヒットし、中国人なら誰でも知っているお菓子にまで成長したのである。
- 中国人のニーズにマッチしていること
中国のお菓子需要はもともとお土産文化が高いことから一定量の需要はあった。また、パッケージが豪勢ではあるものの、品質はまちまちで新しい商材を探す企業、消費者が多いタイミングであった。
- リーチしやすい販売チャネルで販売されていること
お土産需要として空港で販売されていることが必要であった。そして、通常土産品は、地域限定箇所で販売されることが多い中、この菓子メーカーは早くから日本全国での空港販売に踏み切ったのである。
- 中国人が商品・サービスを知っていること
これは映画のヒットという偶然があったものの、多くの中国人が知り得る環境が整ったことが、販売につながっているのである。
年商70億の企業が、インバウンド需要だけでおよそ倍の売り上げにまでわずか数年でたどり着いた例である。様々な偶然が重なったものの、この事例から学べることは、中国人のニーズ(文化的なニーズも含む)にマッチし、日本にさえ来ればどこでも購入でき、誰もが知り得る商材であるために、堂々とお土産として購入できるものであった。という3つの条件が整っているのである。